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2024/11/24(Sun) 03:01:24

CBに拾われた? 刹那とロックオンな小説 シリアス系で多分長編
性格とか設定は捏造
加筆修正する予定ですが、upしておかないと投げ出したくなるので




擦り切れて穴が開いた靴、サイズの合わない大人用のジャケット、袖からは傷だらけの細い腕、握り締めたアサルトライフルには弾が装填済み、救いは安全装置がかかってること。癖のある黒髪は砂にまみれていて、最悪なのが手負いの獣と変わらない光を宿した瞳だ。これがもし銃を抱えてなくても、市街地でこんななりの少年を見かけたらロックオンは間違いなく逃げ出す。その後に自爆テロが起きてもなんらおかしくないじゃないか。
しかしながらその男がノックもなく入ってきたのは、残念ながらロックオンの自室だ。事前に知っていたならと思ってもときすでに遅し。十歳前後に見える少年の放つ殺気に気圧されながら、ロックオンは文句をつけるために口を開いた。
「こんなガキ連れてきて一体何のようだ?」
年下のロックオンが半ば睨みつけぞんざいな態度をとっても男は特に気分を害した様子はなかった。どういう経緯を経てここまで来たのかは分からないが、男はパイロットスーツに身を包んだままであった。彼が戻ってきたと聞いたのは一時間ほど前のことだ。
「弟代わりにどうかと思って」
「弟、じゃない!」
ロックオンが声を張り上げようと、男は余裕ぶっこいたままである。
「クルジスで拾ってきた、ソレスタルビーイング参加希望者だ」
瞬間言葉を詰まらせて、それでもロックオンは言い返した。
「だからなんで俺のとこにつれて来るんだ!」
「悪いな、他に任せられそうな奴はいないし。言葉は通じるみたいだから何とかなるだろ」
そう言うと男は少年を部屋に押し込んだ。返事をする猶予もなくドアが自動で閉まった。

ロックオンそして少年までもやや呆れた面持ちでドアを見つめる。しかしかすかに聞こえるのは走り去っていく足音だけだ。
ロックオンは大きくため息をついた。
「あの野郎…」
知りうる限りのスラングで男のことを罵倒した。ボキャブラリーが完全に尽きても、少年は残念ながらそこにいて男が戻ってくる気配はなかった。ロックオンは諦めて少年の世話を焼くことにした。
汗と砂と硝煙と、乾いた血のにおいが容易に戦場を連想させる。
「お前、とりあえずシャワー浴びてこい」
少年は無表情でロックオンを見返す。視線の鋭さはあいかわらずだ。自動小銃から一刻も早く手を離して欲しい。しかしロックオンとしてもこんな子供にたじろくわけにはいかないのだ。
「ここは俺の部屋だ。砂まき散らかされると迷惑なんだよ」
それで納得したのか、少年はかすかにうなずいた。
「あっちのあのドアがバスルームだ、タオルとかは中にあるの適当に使え」
少年は無表情のままではあるがロックオンの言葉に従いバスルームの中に入っていった。やれやれとロックオンはとりあえず胸をなでおろした。荒れた部屋を見回してとりあえずゴミぐらいまとめるかと空き缶を取り上げたそのとき、ドアが開いた音がした。
振り向くと少年がそのままの格好で立っていた。
「なんだよ」
「……使い方が分からない」
想像していたよりも大人びた声に、悔しそうな色が混じっていた気もする。使い方が分からないのは当然だ。このご時勢、中東の小国にまともな上下水道設備なんてあるわけがない。せいぜい井戸がいいところだ。
「そうか、すまない」
教えなかったのは自分の落ち度だと、ロックオンは素直に詫びた。


洗面台とトイレの使い方を教えた後、ロックオンと少年は服を着たまま狭いバスタブに入り込んだ。
文字が読めるのかとの問いに首を振ったため、ロックオンはパネル上のボタンを一つずつ説明していった。
「上がシャワーで勢いの調節がこれ、温度がこの矢印。下がそこの蛇口な。シャワー使うときはカーテン引けよ」
防水布でできた安っぽいカーテンを引っ張って見せると、少年は頷いた。
「シャンプーとボディーソープな、あー要するに石鹸だ。これで使えるな?」
少年は操作パネルを見つめたまま、そちらに手を伸ばした。
「バカ! お前…!」
ぬるいお湯が頭上から降り注いだ。少年は目を丸くしてシャワーを見上げる。
あわててロックオンがシャワーを止めた。
犬が水を振り払うように首を何度か振って、ロックオンはバスタブの外に出た。
「あーあ、濡れちまった。お前な、少しは考えろ」
ロックオンが振り返ってみれば、バスタブの中で立ち尽くしたままの少年の無表情が少し動き、目がおどった。
「……悪かった」
「まぁいいけど。濡れたままだと風邪引くぞ、早くシャワー浴びろ。洗濯物はあっちの籠だ」
戸棚からバスタオルを二枚出して、片方を洗面台に置く。もう一つは自分用だ。タオルをかぶって乱暴に髪の毛を拭く。
「着替えは適当に用意しておくからセンス悪いとか言うなよ、あ、お前腹は減ってるのか?」
しばらく躊躇った後、少年は頷いた。
「分かった、なんか用意しておく」
水滴が落ちてこない程度に体を拭き終わっていたロックオンはバスルームの外に出た。薄いドアの向こうから床に硬いものが触れ合う音がした。しばらくしてシャワーが落ちる音が聞こえ始めると、ようやくロックオンはその場から離れた。

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2007/10/13(Sat) 13:26:45
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